見て、読んで、買って楽しむ! 見て、読んで、買って楽しむ!
Art is Art is

大人たちを触発する、
若きアーティストたちの感性

はじめよう、
アートのある暮らし。

Life Life

アートのある暮らしは人生を豊かにします。最近では、大人の教養としてはもちろん、資産として考えられるアートへの関心は日増しに高まっているのだとか。しかしながら、まだまだアートは難解なものだと誤解されていることが少なくないようです。そして二の足を踏み、結局は食わず嫌いということに…。誰もが知るミュージアムでもいい、街の片隅にある小さなギャラリーでもいいでしょう。実際に足を運んで、アートと向き合い作家の感性に触れてみませんか?そのひとときは、間違いなく日常を豊かにしてくれます。
 特に注目すべきは若きアーティストです。彼らの作品は私たちにはとても興味深く、現代アートの多様化を実感するでしょう。その斬新なアイデアや独創的なアプローチには思わず感心させられるはず。そこで今回は、独自の着眼点と審美眼で有識者をも唸らせる気鋭ギャラリーに協力を仰ぎ、今注目すべき若手アーティストとその作品をご紹介します。若き力が放つ輝きと瑞々しい感性。年を重ねたからこそ、そうした価値観にも分け隔てない眼を向けたいもの。これまでアートに触れる機会がなかった方や、興味はあるもののどれから見ればいいのか分からなかった方にこそ、彼らの作品から自由なインスピレーションを感じて楽しんでみてください。そして、気に入ったらご購入を。我が家のリビングに飾ってある姿を眺めると本当に幸せな気持ちになります。アートを暮らしの一部とする、そんな贅沢はほかにないのです。

Yukiko Yamasaki

01

ポップカルチャーを背景に魅せる、
現代アートの新機軸

VOILLD」で
出会える
山崎由紀子のアート

山崎由紀子氏は、国内のさまざまなグループ展や自身の個展を通して精力的に作品を発表するだけでなく、CDジャケットやファッションブランド、カルチャーマガジンなどへも作品を提供。ジャンルを問わず活躍の場を広げている、今最も注目すべき女性アーティストのひとりです。

彼女は雑誌やチラシといった紙媒体、インターネットから流れてくる膨大な数の画像から目に止まったものを素材としてスクラップし、iPhoneやPhotoshopでデジタルコラージュして再構築。それらを、キャンバスにペインティングという形で落とし込んでいきます。特筆すべきはグラフィカルなモチーフや、鮮やかな色彩、さりげなくも力強い線、躍動感に満ちた大胆な構図。これらの要素は、漫画やアニメーション、ファッションや音楽など時代の流行をポップに取り込み、卓越したセンスとウィットに富んだ表現力で作品を仕上げる彼女の特徴とも言えるでしょう。独自の目線で切り取られ、編集された画像、そして一見ミスマッチなモチーフや描画は、一枚の絵として構成することで調和をはかりながら画面の中で巧妙に響き合います。その様子はまるで現代の絵画としての新しい価値観を提示しているかのようにも読み取れるのです。デジタルメディアとアナログ的手法を巧みに操る山崎氏。その作品群は、情報やガジェットの変化とともに多様な形に進化し続けています。そして自身の嗜好だけでなく、大衆的なニュースや流行、時代の移り変わりまでをも肯定的に楽しみながら鮮明に記録している。そんな彼女ならではの表現をぜひ楽しんでみてください。

ICE

作品名『ICE』
技法:キャンバスにアクリル、エアロゾル
サイズ:W50.5 × H65.5 × D2 cm
制作年:2021年
価格:要問い合わせ
© Yukiko Yamasaki, in courtesy of VOILLD

sunset

作品名『sunset』
技法:キャンバスにアクリル、エアロゾル
サイズ:W28.2 × H110.2 × D4.2 cm
制作年:2021年
価格:要問い合わせ
© Yukiko Yamasaki, in courtesy of VOILLD

Red crab

作品名『Red crab』
技法:キャンバスにアクリル、エアロゾル
サイズ:W91 × H73 × D2.7 cm
制作年:2021年
価格:要問い合わせ
© Yukiko Yamasaki, in courtesy of VOILLD

sunset

作品名『sunset』
技法:キャンバスにアクリル、エアロゾル
サイズ:W28.2 × H110.2 × D4.2 cm
制作年:2021年
価格:要問い合わせ
© Courtesy of VOILLD

VOILLD

2014年に中目黒にて設立し、ペインティング、彫刻、イラストレーションなどジャンルを問わず、東京を拠点に活動するアーティストの作品を紹介している。アートイベント「TOKYO ART BAZAAR」の開催や絵本の出版などのプロジェクトも手掛ける。

VOILLD

GALLERY DATA
住所:東京都目黒区青葉台3-18-10 カーサ青葉台1F
メールアドレス:contact@voilld.com
営業:12:00~19:00
定休:月・火曜日 ※展示期間外はCLOSE
HP:https://www.voilld.com/
Instagram:@voilld

MEMO:
《展示スケジュール》
11/6~12/5 magma展覧会
12/17~翌年1/16 安田昂弘個展

Hana Tobari

02

鉄の声を聞いて造形する
“彫刻”に見える、そのポテンシャル

LOKO GALLERY」で
出会える
戸張 花のアート

溶ける、曲がる、歪む、錆びる。鉄にはそんな特性があります。一見すると自由に扱え、思いのままの造形を作り出すことが可能に思えますが、そう単純ではありません。まずは、主に鉄製の棒を使い3000度の炎で溶解。赤く液状化した状態を瞬時に見極めて、造形を作っていきます。定規や型枠といった道具は用いず、自分の目と手の感覚だけを頼りに形や大きさを計っていくのです。

戸張 花氏は鉄を素材とした立体及び平面作品を制作する彫刻家。彼女は、鉄という素材を人間の力が及ばない自然の巡りのなかにあると考えています。そして、物質化して知覚できる外側とその内側に秘められたものを探っています。鉄と格闘していくなかで、自身の表現を素材に押しつけようとせず、鉄の声を聞き、素材と作家との表現のせめぎ合いの中から生まれるカタチを作品に落とし込んでいるのです。例えばこちらのドローイング作品は、別の作品の制作過程で鉄を研磨した際に出た鉄粉を拾い集め、メディウムを混ぜて紙に定着させています。鉄への探究心と造形力に溢れる、実に彼女らしい作品と言えるでしょう。

彼女は、毎日鉄の立方体を磨いて眠りにつくといいます。鉄と一心同体になって制作する彼女の作品は、思いもよらない鉄の魅力を、私たちに語りかけるのです。

depth1

作品名『depth1』
メディア:鉄粉、金粉、錆びた鉄粉、版画用紙、メディウム
サイズ:W29.7 x H42 x W0.5 cm
制作年:2020年
価格:要問い合わせ

LOKO
GALLERY

代官山の裏通りに2016年にオープンし、国内外の若手から中堅のアーティストを中心に紹介。“コンテンポラリーアートの楽しみは新しい世界との接続”を謳い、観る者の中にある意識の地図を更新してくれるような作家の作品を発信していく。

LOKO GALLERY

©傍島利浩

GALLERY DATA
住所:東京都渋谷区鶯谷12-6
電話:03-6455-1376
営業:11:00~19:00、12:00~18:00(日曜)
定休:月・火曜日、祝日
HP:https://lokogallery.com/
Instagram:@lokogallery

MEMO:
《展示スケジュール》
11/12~12/12 益永梢子「replace」

Seia Suzuki

03

大胆かつ繊細な水面に、
三次元的感覚を覚える

Maki Fine Arts」で
出会える
鈴木星亜のアート

現代アートの平面領域の分野において、国際レベルの若手アーティストを支援することを目的にしたVOCA展。それは、1994年から開催されている由緒正しき美術展です。これまでにも今をときめく数多のアーティストたちを輩出しており、アート業界での注目度の高さは改めて語るまでもないほどです。そこで、2012年にグランプリを受賞したのが鈴木星亜氏です。

鈴木氏が主に描くのは“水面”。直近の個展でも彼独自の表現力と世界観が話題を集めました。もっとも特徴的なのは、作品を眺めているうちに気付く、この独特なパースペクティブ(=遠近感)です。得も言われぬこの違和感は、眺めれば眺めるほど魅力的で、いつの間にか心を奪われているはずです。どうやら、その不思議な“引力”の正体は、彼が描く際に試みる非常にユニークなアプローチに起因するようです。なんと自らの記憶や目に見える風景を文字に綴り、そのメモを頼りに描くというのです。そのうえ、下書きなどは一切せずに白いキャンバスへ最初から色をのせていきます。そうして大胆に描かれる作品は、まるで生命力に満ち溢れるように生き生きとしているのです。ダイナミックな構図と繊細な色使いが臨場感を生み、水面の揺らぎや波紋の広がりを思わず感じてしまうほどに。だからこそ、鈴木氏の作品は眺めているだけで、強烈に引きつけられるのです。

Surface 21_02

作品名『Surface 21_02』
技法:油彩
サイズ:W31.8 × H41cm
制作年:2021年
価格:要問い合わせ
Courtesy of the artist and Maki Fine Arts

Surface 21_01

作品名『Surface 21_01』
技法:油彩
サイズ:W194 × H130.3cm
制作年:2021年
価格:要問い合わせ
Courtesy of the artist and Maki Fine Arts

Maki
Fine Arts

2010年に設立し、2015年に神楽坂に移転。元印刷工場を改装したスペースにて積極的に企画展を開催している。アレックス・ダッジや末永史尚、白川昌生など、現在のアートシーンを盛り上げる注目の作家たちの作品を多数取り扱う。

Maki Fine Arts

GALLERY DATA
住所:東京都新宿区西五軒町5-1 エーワビル1F
電話:03-5579-2086
営業:12:00~19:00、12:00~17:00(日曜)
定休:月・火曜日
HP:http://www.makifinearts.com/jp/
Instagram:@makifinearts

MEMO:
《展示スケジュール》
11/20〜12/19 鈴木星亜新作展

Hiro Tsuchiya

04

生と死の間を独特な
アプローチと感性で描く

KOKI ARTS」で
出会える
土屋裕央のアート

誰にでも平等に必ず訪れる、「死」をテーマに作品を描いているのが土屋裕央氏という作家です。死の瞬間に何が見え、何を感じるのか。死の前と後を分かつものはなんなのか。彼にとっての絵画制作は、その生と死の境界を探る行為でもあるといいます。

例えば『対について』という作品では、植物と宇宙を1対1の対等な位置として考え描かれています。作品を見つめるほどに、植物の葉にどこか宇宙を感じさせます。『山の構築』は山について考察する作品です。山は時間の集積であり、永続的な生命を感じさせるものでもあります。そこから、三角形を地層に見立て、重なり合わせることにより一定に流れる時間を表わしているのだそうです。

土屋氏は、2016年に東京造形大学大学院を修了後、東京で活動を続けています。近年では、東京だけにとどまらず、2018年には香港、2019年にはニューヨークと海外でも展覧会に参加。活動の場を世界へと広げ、各国の会場で有識者や来場者を魅了しています。若くして世界からも注目される土屋裕央氏、以後お見知りおきください。

対について

作品:『対について』
技法:油彩、綿花、パネル
サイズ:W38.1 × H45.5cm
制作年:2021年
価格:要問い合わせ
© KOKI ARTS

山の構築

作品:『山の構築』
技法:油彩、アクリル、綿花、パネル
サイズ:W42 × H40 cm
制作年:2021年
価格:要問い合わせ
© KOKI ARTS

KOKI ARTS

2012年に東京・馬喰町に開廊した現代美術のギャラリー。ディレクターがNY出身ということもあり、同地で活躍する作家の作品も多く取り扱う。国内作家は、若手からベテランまで独自の視点で紹介。国内外のアートフェアにも数多く出展している。

KOKI ARTS

GALLERY DATA
住所:東京都千代田区東神田1-15-2 ローズビル1F
電話:03-3865-8650
営業:12:00~19:00
定休:日・月・火曜日、祝日
HP:https://www.kokiarts.com/
Instagram:@kokiarts

MEMO:
《展示スケジュール》
10/1~10/30 井上光太郎展「すぐ隣に潜む者たち」
11/13~12/23 エヴァン・ネスビット個展

Yotaro Fuda

05

抽象的に描いたモノやコトに、
日常の深淵を見る

biscuit gallery」で
出会える
布田葉太郎のアート

国内外の若手美術作家を取り扱うコマーシャルギャラリー、biscuit gallery。2021年にオープンしたばかりではあるものの、独自の審美眼によって選ばれ、展示されるアーティストの作品は、目の肥えた有識者も唸らせるほど多くの耳目を集めている注目のスポットです。そんな気鋭のギャラリーが、今熱い視線を注ぐのが布田葉太郎氏です。

布田氏は2019年に自身初となる個展「猫とトポロジー」を開催して高い評価を得た、業界でも注目のアーティスト。彼の作品が人々を魅了する最大の理由は、その絵画の組み立て方にあります。猫やカラスといった日常的な、ごく身近なレベルに生息するモノやコトの形を、まるで溶かすように抽象化していくという非常にユニークなものです。それゆえ作品の中では、普段目にしている世界とそうでない世界がオーバーラップします。それは本人が「作品がまるで生きているように感じる」と話すように、具象にも抽象にも固まりきらないもの。あたかも絵自体が生物のように筋を動かし、呼吸するかのようなしなやかな躍動感を喚起します。奇をてらうことも、難しい理論を述べ立てることもなく、ただ静かに、日常や世界の深淵に思い巡らせる。観ている人を独特な世界に誘ってくれる、そんな彼のオリジナリティ溢れる表現力を、ぜひ堪能してみてください。

日常

作品名『日常』
技法:油彩
サイズ:W53.0 × H45.5 × D2 cm
制作年:2017-2019年
価格:66,000円
© biscuit gallery

モノとモノ

作品名『モノとモノ』
技法:油彩
サイズ:W33.3 × H24.2 × D2 cm
制作年:2021年
価格:41,800円
© biscuit gallery

見つめ合うものたちⅢ

作品名『見つめ合うものたちⅢ』
技法:油彩
サイズ:W33.3 × H24.2 × D2 cm
制作年:2021年
価格:41,800円
© biscuit gallery

biscuit
gallery

渋谷区松濤に2021年にオープンしたギャラリーは3フロアで構成され、展示スペースは合計100平米超。複数の作家による同時個展や、作家、批評家によるトークイベント、アートコレクターの座談会など多彩なイベントを開催している。

biscuit gallery

GALLERY DATA
住所:東京都渋谷区松濤1-28-8 biscuit bldg1-3F
電話:03-6416-5924
営業:13:00~19:00(木・金曜)、
12:00~18:00(土・日曜)
定休:月~水曜日
HP:https://biscuitgallery.com/
Instagram:@biscuit_gallery

MEMO:
《展示スケジュール》
10/14~24 [2人展]小林椋×山本直輝「妙な穴面」
11月 [2人展]東慎也×飯田美穂「Welcome to the painting jungle」
12月 Collectors Collective vol.5